毒を喰らわば皿まで。

個人的な思い込みとかを、暇な時に書きます。

蒸す。

 部屋が蒸す。あともう少し気温が上がったら、エアコン先生に出張ってもらわなければなるまい。ただ、まだまだ本気を出していただくまでもない。除湿で十分である。健康と経済のためにも、そうそう先生に頼ってばかりもいられないのだ。なるべく先生の手を煩わせたくないというのが正直なところである。

 2階の角部屋ということもあって日当たりがすこぶる良いのは有難いが、夏場はまさに地獄。昨年などは、部屋の中に陽炎を見た。蜃気楼を見る日もそう遠くはないだろう。

 裸で何もせずとも自然と流れ落ちる汗。世間一般ではこれをサウナと呼んで、お金を払い、好んで通う輩も居るというから不思議でならない。そんな人々が我が家のことを知ったらどうするか?まず考えられるのは、「タダでサウナに入れる」と我が家に殺到してくる可能性だ。或いは、「こんなことでお金を取っていたのか」とサウナ屋に矛先を向け、サウナ屋打ち壊し事件に発展する可能性も捨てきれない。そう考えると、ほとんど誰も見ない便所のラクガキのような日記とはいえ、あまりにも不用意な記述ではないかと恐ろしくなった。

 我が家は夏場もすこぶる快適であり、汗の一滴もかかず、むしろ寒いくらいである。

 いかん、これでは「タダで涼める」という人々が殺到する可能性が出てくる。さらには、「こんなことで金を取っていたのか」と、エアコンを販売する家電メーカー打ち壊し事件に発展する可能性まで出てきた。どうしたものか。

 我が家は時にサウナの用を為す一方で、エアコン要らずの快適さも持ち合わせる。

 がしかし、若干アクセスが不便だ。周りを人食いザメが囲む絶海の孤島の、食人族の集落がある森を3つ抜けた先に建っているアパートの2階が我が家である。ただそこまでたどり着けたとしても、番犬の5匹のケルベロスをかいくぐり、管理人のスフィンクスが出す謎々に答えねば門扉を開けてもらえない。僕個人としてはいつでも客人を迎える準備は出来ているので、何人でも好きな時に来ると良い。

 これなら大丈夫だろう。

溜まる傘。

 天気が良いと暑いが、天気が悪いと途端に寒い。気温乱高下である。この時期、こんなにも天気とか気温に悩まされた覚えがあまりないのだが、これは僕の記憶力の問題だろうか?喉元過ぎれば熱さ忘れるというやつだろうか?去年の今頃の日記を見ても、まったく天気について触れていない。やはり今年の天気がおかしいのだろう。

 天気といえば近頃、どうにも家に傘が溜まる。コンビニで売っているビニール傘だ。家を出てから雨になり、出先で傘を買う所為である。玄関だけ見るとまるで大家族。部屋の広さと傘の数を比べると違和感がある。

 「そんなものは捨ててしまえ」という意見があることは予想している。だが、この溜まっている傘はいつまでも溜まっているわけではない。出かける際に雨が降っていればもちろん差し、出先で雨が止んだら忘れてしまうからである。つまり今のところ、家を出てから雨になる日が多く、出かけてから雨が止む日が少ないというだけであり、いつこの逆のパターンになるとも限らない。深刻な傘不足に陥る可能性もあるのだ。

 玄関に傘が一、二本しかないときのプレッシャーたるや相当なものだ。「もし、この傘を忘れてしまったら……」と想像するだけで震えが止まらない。土砂降りの朝に、家から傘なしで出かける男なんて、あらゆる説得力を捨てているとしか思えない。一言で言うと馬鹿野郎である。

 「傘を忘れない努力をしろ」という意見があることも想定内だ。ただこれに関しては「貴様に俺の何が分かる」と目を血走らせて怒号を浴びせることしかできない。だってしょうがないじゃん。忘れちまうんだもの。

 こうして今日も、玄関には傘が溜まっていくのである。

気がつけば8月で。

 

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 気がつけばセミが鳴いていて、気がつけば世間的には夏休みで、気がつけば誕生日から10日が過ぎていた。忙しいのは悪くない事だと思うが、忙殺とはよく言ったもので、近頃は忙しさに色々な物を殺されている気がする。それはちょっとした感情だったり、何かのクオリティだったり、wii fitのプレイ時間だったり、この日記の更新機会だったりするわけだけど、せめてそれらを最小限にする努力は続けたい。日記に関しては別にどうでもいいけど。

 昨日、道で今からまさに脱皮せんとするセミの幼虫を危うく踏みかけた。5年土の中で辛抱したアイツの苦労を台無しにするところだった。危なかった。

 肌の色は青っ白いが夏に生まれたせいか、蒸し暑い感じも含めて暑いのはキライじゃない。冬の、ただただ寒いときのあのやるせなさ。あれに比べればなんてことはない。なにより夏の良い所は、日が長いことだ。夕方に何か思い立った時、太陽が後押ししてくれるのは大きい。夏の夕方は昼の延長で、冬の夕方は夜の前触れだ。

 そういえば丁度この間、昼と夜の隙間に外に出る事があったので思わず写真を撮ってしまった。いわゆるマジックアワーってやつ。

 ああ、三谷幸喜の映画、また映画館で観れそうにないや。

 

限りなく黒沢に近い年雄

 最近、何故か黒沢年雄によく似た人を見かける。僕は道行く人の顔をよく見ない性分なので、或いはひょっとするとその中には黒沢年雄本人もいたのかもしれない。いや、僕が見かけた人が全部同一人物で、それが黒沢年雄の可能性もある。もしそうなら多分僕と黒沢年雄は赤い糸で結ばれている。それくらいよく見る。

 考えてみれば、僕は黒沢年雄のことをよく知らない。正直に言えば、知ろうともしなかった。それがそもそもの間違いだったのかもしれない。僕がもっと黒沢年雄について精通してさえいれば、まじまじと顔を見なくてもすれ違った人が黒沢年雄であるかどうかを判断できたはずなのだ。これは全くもってブルシットとしか言いようがない。発音を重視して表記するならブーシッ!である。

 改めて僕が持っている黒沢年雄の情報を確認してみる必要がある。僕が持っている黒沢年雄の情報は以下の通りだ。

●ニット帽

●ナイスミドル

●時には娼婦のように

 この3点だけであった。この3つの情報のうち2つをクリアした人間を、僕は黒沢年雄と認識していると思われる。それはそうだ。僕の持つ情報の実に3分の2が適合しているのだ。ニット帽を被ったナイスミドルを見て僕が黒沢年雄と判断するのも無理はないだろう。

 ここにきてこの3点の情報を見るにつけ、これ以上黒沢年雄に関する情報が必要だろうかという疑問が湧いた。本音を言えば、黒沢年雄に僕の内蔵メモリーをこれ以上奪われたくない。ではどうするべきか?そこで僕はある画期的な結論に達した。

 黒沢年雄と判断するための第一条件を「時には娼婦のように」にすればいいのだ。「ニット帽」で「ナイスミドル」な人はそれこそ沢山居るだろう。だが「ニット帽」で「時には娼婦のよう」な人はかなり限られる。まして「ナイスミドル」で「時には娼婦のよう」な人なんて黒沢年雄一人である。これで仮に数多の黒沢年雄っぽい人に黒沢年雄が混じっていたとしても、惑わされることはないはずだ。

 ただ、「時には娼婦のように」なっている人を判断することができないのが難点だが。

朝、

 やわらかい日の光を感じて目を覚ますと、ヘソから下がなくなっていた。それはあまりにも自然で、当たり前の事のようだった。痛みも無かった。いつ、どうして失くしてしまったのかを思い出そうと努力をしたが、全く思い出せない。

 もしかしたら部屋の中にヘソから下を置きっぱなしにしているのかもしれない。僕は辺りを見渡したが、少なくとも視界の範囲にヘソから下は見当たらなかった。もし部屋にあるとすれば押入れか、死角になっているバスルームだろう。

 押入れの取っ手に手をかけるのが少し面倒そうだったので、僕はとりあえずバスルームに行ってみる事にした。僕の部屋のバスルームはトイレと一緒になっている。いわゆるユニット・バスというやつだ。僕は手のひらを床につけて、一人手押し車のような状態でバスルームへ向かった。やはりというか、そこに僕のヘソから下はなかった。

 どこかに置き忘れてきたのだろうか?それとも盗まれてしまったのだろうか?僕のヘソから下なんて他人にとってなんの価値があるというのだ。他人のヘソの下コレクターなんて聞いたこともないし、する輩がいるとも思えない。それは他人のかんだ鼻紙を集めてまわるようなものだからだ。

 こんなことを考えている内、僕は思わずはっとした。僕にはもともとヘソから下なんてなかったのではないか?そもそもヘソから下とはなんだ?すでにその時の僕にはヘソから下の具体的なイメージが湧かなくなっていた。或いはその時、誰かに「これが君のヘソから下だよ」と撞きたてのお餅を持ってこられたとしても、不審に思いながらも納得したかもしれない。それくらい僕のヘソから下に対するイメージは曖昧になっていた。

 とにかく、押入れの中も見よう。他の可能性を考えるのはそれからでいいだろう。僕はそう思い直すと、再びベッドの近くまで戻り、押入れの取っ手に手をかけた。中には

 というところで目が覚めた。窓の外からは雨の音が聞こえる。こりゃたまらん、と思った。

光陰矢の如し

 やばい。時間超早い。追いつけない。アイツマジ激早。なんなの?なんでそんなに急ぐの?死ぬの?ちょっとくらい待ってくれたっていいじゃん。とか言ってる間にもうちょっと先行ってるし。アイツなんなのマジで?ムカつくわ。今度からあいつ無視しようぜ。ってかアイツさー、よく考えたら中学んときくらいから調子乗ってたもん。したり顔で「俺の価値は金と同じだから」的な?ちょっとマジあの顔思い出してたらムカついてきた。

 あとアイツさー、二十歳超えたあたりからさらにスピード上げなかった?上げたよね!だよね?ちょっとマジ勘弁だわ。拉致監禁だわ。みんなして「早い早い」って言ってんのに、何でさらにスピード上げるかね?あいつバカなの?褒められてると思ってんのかな?アイツ褒めて伸びるタイプ?褒めて伸びるタイプの子?いや知らんし。伸びてねーし。伸びられても困るし。私裸足だし。

 確かにさ、逆に「早く!もっと早く!」って思ったこともあるけどさ。絶対あいつそういうときスピード上げないじゃんか。むしろそんな時に限って、「ちょっとスピード落としますけど?」みたいな顔するときない?あるよね?基本的に性格が悪いんだよアイツ。

 そうだ!それにアイツ絶対戻ってこないでしょ?いくらお願いしても「知らん」みたいな。酷くない?ちょっと俺引いたもん。あー、そうなんだーじゃあしょうがないねーってちょっと人事みたいになったもん。俺がお願いしたのに。もうドン引きよ。ドン引き。ドン引き通り越してドン小西。

 まあ助けられた事がないとは言わないよ。アイツが早いおかげで、いろいろ忘れられることもあるからさ。でも別にあれは俺のためにやってるわけじゃないからね。みんなのもんだから。言わばアイドルだから。意味分からんけど。

 で、結局俺は何が言いたいかっていうと、日記書くの忘れてましたってこと。